成年後見制度とは、高齢者や障がいなどの理由で判断能力が不十分な方を対象にして、法律面や生活面で手助けをしようとする制度です。

成年後見制度は大きく分けて２つに分類できます。

　　　・法定後見・・・すでに判断能力が十分でない方のため、裁判所の手続きによって後見人等を選任してもらう制度

　　　・任意後見・・・現在は判断能力が十分にある方で、将来的に自分が判断能力が衰えたときのためにあらかじめ契約によって後見人を選び、自分にかわってしてほしい判断業務を託しておく制度

• 遠方に住んでいる高齢の母の家を訪ねたところ、「通帳にお金がない。」というので通帳を見たところ、多額の出金が・・・。母に聞いても認知症のせいで「よくわからない。」との事。
  どうも、母に代わって銀行に行ってくれている母の姉が使い込んでいるのでは？
• こんな時、お母さんの住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見の申し立てをすれば、財産管理や契約の代理をする成年後見人を選任してもらうことができます。成年後見人には、親族のほか司法書士など第三者も選任してもらうことができます。お母さんの財産が本当にお母さんの為に使われているか裁判所が監督してくれるので、遠方にいても安心です。

• 弟が亡くなりました。弟には子供はおらず、弟のお嫁さんと母とで遺産分割協議をしなくてはなりません。しかし、最近母は認知症が進んでおり、会話もままなりません。。。
• こんな時にも、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい、成年後見人がお母様に代わって遺産分割協議をすることになります。

• 父が高齢になり、介護施設への入所を検討しています。父名義の不動産を売却し入所金にあてようと思うのですが、認知症のため売買契約ができません。。。
• こんな時にも、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい、成年後見人がお父様に代わって売買契約をし、介護施設の契約行うことになります。

• 一人暮らしの高齢な母の判断力が最近衰えていると感じて帰省したところ、近隣住民から「業者の出入りが多い」と言われた。さっそく家の中を捜してみると、契約書の束が見付かった。

• 契約書で確認できただけで、母は5年前から、18の業者と47件もの自宅のリフォーム工事の契約   を 繰り返していた。業者の訪問販売で契約をし、ほとんどが契約したその日に工事をしていたようだ。工事内容は床下工事、屋根裏工事、外装工事、内装工事、浄水器の設置などであり、総額は約1,570万円にものぼっていた。。 
  成年後見制度を利用すれば、こういった悪徳業者との契約を本人に代わって成年後見人が取り消すことができます。時間がたてばたつほど被害が増えていくので、早めに成年後見の利用を検討しなくてはなりません。

ただし、遺産分割が終わったり、売買契約が終わったからといって、成年後見人の任務が終わるわけではありません。ご本人の判断力が完全に回復するか、またはご本人が亡くなるまで、成年後見人の任務は続きます。

第三者が成年後見人に選任された場合、裁判所の決定によって報酬が定められます。成年後見人の報酬は、本人の財産から支払われることとなります。